『葛飾子ども食堂「みんかふぇ」の現場から~新型コロナウィルス感染社会、私たちにできること~』

5月25日に参加した、主催:特定非営利活動法人パルシックのオンラインセミナーのレポートです。

1. 葛飾区の子どもたちの状況、かつしか子ども食堂ネットワークについて

◇緒方 美穂子 氏(NPO法人レインボーリボン代表、かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク代表)

NPO法人レインボーリボンは葛飾区を活動拠点として「PTAを誇り高いボランティア活動に」「学校を子どもたちの楽しい居場所に」を合言葉に「PTA研修」や「いじめ防止教室」開催等の活動を実施している。2016年からは子どもたちに栄養のある食事と、その成長を見守る大人の視線を提供する場として子ども食堂を始め、現在は葛飾区内3か所で子ども食堂を開催している。

葛飾区の平均年収 333万円 23区で下から2番目(足立区が1番)

9団体が11カ所で子ども食堂を運営し、スクールソーシャルワーカーや民生児童委員さんなどの紹介を受けた子どもの「居場所」を運営している団体もある。

2018年から「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク」として連携して活動している。2019年に夏休みお弁当プロジェクトを実施。3年以内に子ども食堂を倍増すること、将来は区内70カ所に増やすことが目標にしている。

子ども食堂の事務局を社協が担っているところが多いが、葛飾区はやっていない。

緊急事態宣言、学校の一斉休校になったことから、春休み緊急お弁当プロジェクトを実施。対象家庭はひとり親や親が障がいをもつ、または障がい児の家庭など。

学校給食がないと子どもの栄養補給するのが大変。足立区の父子家庭をふくむ2世帯にSSWからの依頼でお弁当配布。

4月22日区長と学務課課長に要請

内容は

①給食の代替措置

②家庭における虐待などからの安全確保。給食代替措置については足立区、江戸川区(中学校)、大田区(社協)が行っている。

コロナの第一波では民間は素早く動けた。配達の対面で何気ない会話の中からさまざまな障がいのあることがわかる。しかし、一斉休校は子どもの権利があまりにも軽く扱われていることに憤りがある。給食がなければ栄養摂取ができない。

お弁当プロジェクトでは飲食関係者からの協力があり、定価より安く提供できた。

第二波に備えて考えていることは

①日本小児科学会医学的知見 5/20 「学校の一斉休校を容認するのか」

http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20200520corona_igakutekikenchi.pdf

②子ども食堂など民間の活動が緊急対応に活きた事例のまとめ

自殺予防につながった例など

③政治・行政が果たすべき役割の提言

 

2. 「みんかふぇ」の活動について

◇大坂 智美氏 (パルシック みんかふぇ事業担当)

普通のOLを長く続けた後、一念発起、パルシック現地東ティモール女性事業に携わる。通算6年東ティモールに滞在し、2018年6月よりみんかふぇ子ども食堂・居場所事業担当。

日本では子どもの貧困が6人にひとりと聞いた。東ティモールも貧しいが子どもたちは周りの大人や近所の中で育てられている。翻って、日本はどうだろう。見守り機能や、学校でも家庭でもない第3の居場所が求められている。

毎日お弁当を配布している。今後、経済状況が変わっていくのでないか。コロナ不況など?

子ども本人も気づかないストレスが出てくるのではないか。安全を担保して食堂を再開していく。それはつながりを維持していくことになるから。

 

  1. 新型コロナ感染社会における活動や今後について

◇ モデレーター

穂坂 光彦 (日本福祉大学客員教授、パルシック理事)

同大学アジア福祉社会開発研究センター研究フェロー。元国連職員。専門は居住福祉、社会開発。

湯浅誠さんのこども食堂の現状&困りごとアンケート結果

https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/04/musubie_Q_sheet_0423.pdf

では10%子ども食堂を運営、3~4割が休止、半数が最低限の活動を維持している。困ったことは公共施設などの活動場所がなくなってしまったこと。

①子どもの貧困 食の保障が大事。しかし、コロナ禍により苦渋の選択をせざるを得なくなった。

②居場所づくり、地域づくり、まちづくりにつながる。

東ティモールのような隣近所で子どもを助ける・支えるしくみが必要。

新しい生活様式が提案されたが、コロナ危機を乗り越えてパルシックは新しい日常をつくりだす。そのためには地域をもう一度見直し、国内フェアトレード、食の循環、おすそ分けなどの小さなニーズを受け止めていく。

 

2月27日、安倍首相による全国小中高、特別支援学校の一斉休校の表明により、3月2日から臨時休校がスタートしました。突然の休校は子どもや親、教育関係者など大きな影響があり、特に学校給食がなくなるという事態は経済的に困窮している家庭にとっては大きな問題でした。また、子ども食堂にとっても試練だったと思われます。全国一斉休校についてはきちんと検証をしてほしいと考えます。

子どもの7人に一人が貧困状態にあるといわれている今、1日1食栄養バランスがとれた給食は大事です。今後、休校の対策をとる場合には葛飾区でも給食の代替措置や、虐待などからの安全確保の観点からも子どもたちの食を保障する政策を進めてほしいものです。