年のはじめに

1月1日に起きた能登半島地震は日が経つにつれ、状況が少しずつ把握できるようになり、被害が甚大であることが明らかになりました。報道では避難3万人超、死者94人(1/5時点)行方不明者も多数とのことです。亡くなられた方々を悼むとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。まだ被害の全容が見えない中にありますが、被災地への迅速な救済と支援を望みます。

ここ数年地震による災害も頻発していますが、台風や洪水などの自然災害も増えています。その要因として地球温暖化があります。昨年の日本の夏の平均気温は過去125年で最も暑い夏でした。パリ協定では2050年までにCO2の実質排出量をゼロにすることによって気温上昇を1.5度に抑えることを目標にしていますが、世界の平均気温も産業革命前に比べて1.43度も高くなったと報告されています。

葛飾区は「ゼロエミッションかつしか宣言」を2019年に宣言し、2050年までに温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量実質ゼロをめざして、区長が「COP28」に出席するなど積極的に温暖化対策をすすめていますが、2030年の目標とするCO2削減50%の達成が危ぶまれているのが現状です。気象庁や専門家は、20世紀末と比べると21世紀末の日本の平均気温は、地球温暖化対策をまったくしていない場合だと最大で約4.5度上昇すると想定。温暖化対策や脱炭素化の取り組みはすぐに効果が出にくい面があるが「対策を怠ればツケは次世代に回る。関心を持ち続け、政府や国際社会の行動を厳しく見守ることも重要だ」と指摘しています。

区として温暖化の取り組みをさらにすすめていく必要があります。区内には農地が残っており、多面的な機能があるため農地を農地として保全することは温暖化対策にも災害対策にも有効です。また自然環境が持つ機能を社会における様々な課題解決に活用しようとするグリーンインフラによるまちづくりをすすめることも温暖化や防災に役立ちます。このような自然環境を取り戻す取り組みもCO2削減につながるはずです。

気候変動によって漁業や農業にも影響が出ており、命をも脅かす、「地球沸騰」という危機的な領域に入ったといえます。間接的には難民や貧困、紛争、人権侵害などの問題を引き起こす可能性も指摘されています。世界は産業革命後、日本では高度経済成長によって生活水準を高め”豊かさ”を享受してきましたが、環境に負荷を与えながら享受してきたといっても過言ではありません。

気候変動対策を加速化しなければ、いったいどうなってしまうのでしょうか。次世代に手渡す持続可能なまちづくりのために私たち一人ひとりに何ができるのか、考え行動する年としていきます。