ALPS処理汚染水の海洋放出について

出典元 東京電力ホールディングスホームページ

 

東京電力は8月24日海洋放出を開始し、福島第1原子力発電所のALPS(多核種除去設備)処理汚染水約7800トンを放出しました。東電の計画では今年度は約3万1200トンを4回に分けて放出する予定になっており、完了するまで30年程度かかる見通しですが、実際にはそれ以上かかるのではないかと懸念されています。

汚染水ALPSで除去できないトリチウムについては国基準の40分の1(1500ベクレル/リットル)に海水で希釈し、東電は原発周辺の海水に含まれる放射性物質トリチウムの濃度に異常は確認されない、計画通り安全に放出できたとしています。

 

日本ではトリチウムだけが問題に取り上げられていますが、現在、タンクの中にはトリチウム以外の放射性物質が基準を超えて残留し、7割近くの水で基準を超えています。ALPSによってそれらを完全に除去するのは難しいのではないか、これらの放射性物質が海洋の生態系に入ればどうなるのか、最も危険なのはトリチウムだけではないかもしれないといわれています。また、国は世界中の原発からトリチウムは放出されていると説明しますが、福島第一原発の処理汚染水は、燃料が溶け落ちたデブリに触れた水でさまざまな放射性物質を含んでいるといわれ、炉心に触れていない通常運転している原発からの排水と同じように扱っていいのか、疑問です。

2015年、福島県漁業協同組合連合会からの要望書に東電は関係者の理解なしにいかなる処分も行わない、ARPSで処理した水は発電所敷地内に貯留すると回答しているにもかかわらず、約束を反故にし、国が強行に海洋放出したことは理解を得られるものではありません。

放出が始まった24日には、中国政府が日本の水産物の輸入全面停止を表明しました。政府は風評被害対策として補正予算と基金で計800億円を計上していますが、その額を大きく上回る被害が生じることは明らかです。

加えて海洋放出の処理費用は、2016年の経産省の見積りで34億円とされていましたが、実際には、海底トンネル等の工事費約430億円、風評対策費約300億円、漁業者支援基金500億円が計上、合計1200億円を超えています。

 

汚染水は海に流すしかないのでしょうか。2018年当時、政府の審議会で地層注入/海洋放出/水蒸気放出/水素放出/地下埋設の5つの案が示されましたが、費用の点だけで海洋放出に決定したことは否めません。「政府として処理水の処分が完了するまで全責任を持って対応する」といいますが、誰が最後まで責任を負えるのでしょうか。国、東電は海洋放出を中止し原子力研究者らが提案する大型タンク保管案、モルタル固化処分案を検討し、増え続ける汚染水の流入防止策、廃炉までの道筋について地元の関係者、国民、周辺国の人たちの意見を聞き、解決策を見出していくべきと考えます。