地域猫活動で “猫(ねこ)ミュニケーション” 始めよう

家の周りでよく見かける、のら猫たち。最近、町内でもめる事の1つにのら猫トラブルがあります。マナーなきエサやり問題、増えていく猫の問題、フン尿で荒らされるお庭の問題など。
これらを猫がスキ、キライという見方ではなく、地域の環境問題としてとらえていくために何ができるでしょうか?

「地域猫活動のすすめ」について、この活動を始めた黒澤泰さん(元保健所長)のビデオから次のような話を聞きました。

のら猫に糞をされたり、花壇を掘り起こされたり、車のタイヤを傷つけるなど、のら猫からされた人は「いやだ」「にくたらしい」といい感情はもてません。一方、ミャーミャー泣く子猫は保護したいと思います。どちらも飼い主がいない猫に対する感情です。のら猫に対するトラブルが多くなっているのは人間が捨てるから飼い主がいなくなるのであって、のら猫の問題は人間の問題といえます。今は栄養状態がよくなるなど猫が生きやすい状況にあるため、数が増えて、野良猫によるトラブルが増えています。トラブル解消として猫の生態を知ることが大事です。猫は半年で母猫になり、1回3~6匹が産まれ、年3回出産します。現状ではオス猫の繁殖をとめる去勢手術しかありません。エサやりを止めても猫は生きていくために何でもします。行政は捕獲処分することはできません。犬には狂犬病予防法があるので行政処分ができますが、猫には法律がありません。動物愛護法で猫を捨てることは犯罪です。しかし保護にも多頭飼育などの問題もあり、限界があります。近所の猫にいなくなってほしいと思ってもいなくはなりません。発想の転換が必要です。解消には人間と猫の共存のための、地域猫活動ではないでしょうか。地域のルールを作って猫の命を全うさせることです。そのための役割分担は地域住民が中心になって、行政は広報・啓発・コーディネーター、ボランティアは相談・支援・アドバイザー、動物病院は不妊手術を行います。不妊去勢手術の徹底、エサの管理のため置きエサはせず、場所と時間を決めます。周辺美化の徹底、フンの問題は猫が埋め戻す習性があるので猫トイレの設置、猫台帳の作成、といった活動から多くの住民の理解を得ることにあります。このような地域猫活動から猫のトラブルがないまちになることは住みやすいまちになります。

結果として、不妊手術によって猫が増えない⇒おしっこのにおいが軽減⇒美化によりトラブルが減る⇒コミュニケーションが増える⇒子どもが命を尊重することになる。課題としてはトラブルはすぐに解決しないこと、時間がかかります。猫を捨てることは犯罪なので110番していいです。TNR※によって適切な飼育を考えることは地域力の向上につながります。地域猫活動は人間にとっても豊かな地域になります。

※TNRは、「Trap(捕獲)、Neuter(不妊手術)、Return(元の場所に戻す)」の頭文字で「地域猫活動」。地域猫とは、特定の地域において人間によってお世話がされている野良猫のこと。TNRは、「猫の命を大切にし、一代かぎりの猫の命を守る」という目的をもって活動している。

 

次に葛飾のら猫相談所「カツネコ」の活動について、王白姫さん(相談員)からお話を伺いました。

のら猫にエサをあげていた人が高齢になり入院。近所から苦情がでて、人と人とのトラブルを目の当たりにしました。自分たちは猫の避妊の活動をしてきましたが、このままではまちが壊れるのではないかと思い、愛護の目線で活動したいという人もいますが、まちぐるみで命を全うするほうがいいのではと考え、そのためには住民の理解が大事だと気づきました。残念ながら猫を好きだという人がエサをあげることはなくならず、実はほかのまちから来てルールを守らない人であったりしています。そこで区をあげてやっていくことではと考え、5年前から保健所に相談してきました。苦情の内容を聞くことで問題点が出てくることもわかり、苦情がどんなものか、調査してきました。地域の問題に文句を言いたい人はいますが、自分たちはいくらでも謝れるので問題はありません。猫を嫌いな人やアレルギーの人は好きな人と同じようにするのではなく、自分のできることをすればいいと思います。例えば、猫台帳を書くなどの役割を分担して、地域貢献することができます。うまくいかなくなると感情的になってしまいます。だから、トラブルがあったときは自分たちのようなボランティアを使ってほしい。自分ができることをすることでトラブルがなくなるのではないでしょうか。例えば愛護の視点で83頭の猫の世話をしていたボランティアの人が入院した場合、替わりにボランティアできる人がを探すことは難しいので、そのまちで解決するしかないと思います。

この10年いろいろが活動をしてきましたが、今一番の問題は動物虐待です。虐待はその場で 110番をしてほしい。あとは警察が決めるので躊躇しないで電話をお願いします。

地域猫活動を通して住みやすいまちにしていくという発想の転換、さらに苦情から問題点を探り、解決策を導き出し、コミュニケーションのきっかけにできれば、人よし、猫よし、町内よしに通じると思いました。