生きづらさを抱えた子どものリアルー地域の私たちができることー
NPO法人理事長の三枝功侍さんにハーフタイムの活動についてお話しいただき、様々な背景のある子どもたちの生きづらさを知る機会になりました。
ハーフタイムは「主に葛飾区、墨田区において、貧困、虐待、いじめ、不登校、ひきこもり、障がい、非行などさまざまな生きづらさを抱えた子どもたちに寄り添う団体」です。葛飾区では約50人の子どもたちに寄り添い活動をしています。中には「ネズミやゴキブリを飼っているよ」と言ってしまうようなごみ屋敷で生活する子や、家に居場所がないため、「歌舞伎町に行きたい」というような子どもたちもいるそうです。現在通ってきている子どもたちの年齢構成比は高校1年生が多く、次に高3生、高4生、卒業生となっています。支援期間は1年目と4年目が同じ16.7%と多く、次に5年、4年、長い子は12年に及んでいます。
具体的な活動は学習中心ではなく、まずは子どもの思いに寄り添う関係づくりを進めていきます。子どもたちは精神的に生活が安定しないと学習には結びつかないからだそうです。これは子どもに限らず、大人にも当てはまります。寄り添うのは主に学生ボランティア。たまり場に来る子どもには個別の勉強会や学校説明会などに付き添い、来ることができない子どもたちへは家庭訪問、など個別対応をしています。貧困、不登校、引きこもりの子どもたちは社会体験の少ない子が多いので、参加者のニーズを取り入れながら、体験や経験ができる機会をつくっています。また、若者世代が支援することは、友達や家族と過ごすような時間を望んでいる子に対しても共通する趣味や話題で応えることができ、安心できるといった特徴を持っています。さらに日常的な関係性をつくっておくことで専門の相談窓口にいくほどでもない日々の小さな悩み事、例えばバイト探し、銀行口座の開設などに応えるだけでなく、いじめ被害、家出、予期せぬ妊娠、犯罪被害など突然の大きな悩み事にも相談に乗ることができます。受け入れのほとんどがスクールソーシャルワーカーなどの関係機関からの紹介なので、役所、学校、福祉事務所、児童相談所、子ども家庭支援センター、精神科病院、警察、社会福祉協議会、民生委員、子ども食堂などのNPO団体などと連携していますが、20歳前後の子どもが一人で生きづらさから抜けきることは至難を極めるそうです。2010年に任意団体として発足し、生きづらさを抱えた子どもたちが自ら「やりたいこ」や「将来の夢」を見いだせるよう、大人と信頼関係を結び、社会的に自立していくことを応援する活動は必要です。だからこそ、地域に暮らす私たちが知ること、そして自分に何ができるか、活動をどう支えることができるのか、考えていかなければならないと思います。