すべての子どもと子育て家庭に求められる支援とは

おれんじハウス中葛西保育園前の沼田たか子

12月1日、おれんじハウス西葛西保育園に江戸川・生活者ネットワークのメンバーと伺いました。この保育園には医療的ケア児や重症心身障がい児が通っています。

立ち上げの経過は代表自身のお子さんが医療的ケア児で保育園に断られる続ける経験をもったことにあります。始まりは横浜市で「NPO法人等を活用した横浜市家庭的保育事業」として小さな保育園を立ち上げたところから。実際に医療的ケア児や重度心身障がい児をもつ保護者は一日預かってもらえる保育園や、健常児もいるインクルーシブな保育園に通えることを求めています。しかし、医療的ケア児や重度心身障がい児が通える保育園や児童支援施設、児童発達支援施設が少ないのが現状です。

この保育園の施設の特徴は企業主導型保育事業(19人定員)と児童発達支援事業(重度心身障害型)(定員5名)です。重度心身障がい児には送迎を提供(給付対象)し、保育と療育の専門家と小児に特化した看護師を配置しています。さらに企業主導型保育事業で無料の一時保育(1日定員6名)を健常児と障がいを持つお子さんに提供しています。未就園児を対象に1時間半~2時間程度リフレッシュできることは子育て中のママにとって大事なことです。登録は200人。国から1人に対して2,000円の助成があります。

課題としては小児に対応できる看護師さんが不足していて、横浜市では保育園で医療的ケア児対応に加算されるようになりましたが、レベルは「保健衛生対応」なので、単価が見合っていないそうです。また、認可保育園、小規模認可保育園には障がい児を受け入れると保育士配置加算がつくようになりましたが、企業主導型保育事業では加算はありません。そのため、企業型では障がい児の受け入れは少ない状況だということです。これまで健常児の待機児童対策は進められてきましたが、医療的ケア児や重度心身障がい児の保育園利用問題の解消にはいろいろな保育園で医療的ケア児を預かってもらえるよう、看護師を派遣できるようにすることが解決策につながると思います。

12月13日、ぬくもり子ども食堂『NUKUNUKU』を江東ネットと江戸川ネットのメンバーと訪ねました。NPO法人「らいおんはーと」の代表追川さんよりお話を聞きました。

ぬくもり子ども食堂は子どもたちの居場所(ぬくっもりスペース)でもあり、ぬくもりフリースクール、ぬくもりフードパントリーとして子どもの学習支援、子育て世帯特にひとり親の支援を行っています。団体の運営は会費や寄付で成り立っています。

ぬくもり子ども食堂で話を聞く

子ども食堂について次のことを話していただきました。

①始めたら、おとなの都合でやめてはいけない

②フードパントリーから始める。子育て世帯限定で、そこに来る子ども対象

③おとな1名に対して子ども8名、親に言えないことを話せる関係になる

④毎日同じ時間にいる⑤保護者同士のコミュンティをつくってもらう。親を変えるのではなく、親の育った家庭環境の負の連鎖を止めていく(子どもより親をなんとかしないといけない)

⑥子ども同士で子どもの面倒をみる。

父子世帯の子どもは親がだめというので、絶対来ないそうです。子ども食堂=貧困というイメージがあるため、夏休みの学習サポート教室という学習支援に変化することで敷居が低くなり、来られるようになります。人様の世話にならないという意識が強かったとのことでした。

行政にできることは「つないでくれること」紹介できるところがあると問題の解決につながります。その家族がなんで困っているか、貧困状態から脱するまで面倒をみると言われていました。

どちらのNPO法人にも共通するのは「すべての子どもと子育て家族への支援」を基本理念にもっていることです。地域や社会に支え合いやたすけあえれば、「孤」育てから脱し、子どもも大人も「らしさ」を失うことなく、安心して暮らしていけます。だれも「一人にしない」ために社会が支えるしくみを提案していきたいと思います。