「子ども食堂」「子どもの居場所」は今…
7月17日、NPO法人レインボーリボン代表の緒方美穂子さんに「子ども食堂」をテーマにお話をいただきました。
はじめに緒方さんが代表をしている「レインボーリボン」の名前の由来とミッション、成り立ちについて説明がありました。もともとはPTAの仲間と外国ルーツの親や子ども、障がいがある親や子ども、多様な文化を認め合い、共生の子育て・子育ち環境をつくりたいという思いから、2014年にNPO法人化。活動は①PTAの改革②「いじめ」のない学校をつくる③子どもの居場所「子ども食堂」の運営の3つを柱にしています。
レインボーリボンのこども食堂は2016年4月の月末の土曜日(月1回)ウェイメンズパル調理室から「パルこども食堂」をスタート。NPO法人Learning for Allの無料学習室で高校受験ために勉強している中学3年生を対象に、はじめは困難の中にある子どもたちは下を向いていたが、声掛けをすることで変わっていったそうです。2016年11月からは「あおとこども食堂」を毎月第2土曜日に開設。対象は経済的で困窮している子どもだけでなく「誰でも」にひろげる。2017年12月からは「よみかき宿題こどもカフェ@なぎさ」を開設。精神障がい者の地域活動を支援するNPO法人SIENの「地域活動支援センターなぎ」で毎月第1土曜日の開催。10人限定の少人数制に不登校や障がい、外国ルーツなどの困難を抱えた子どもを対象に行っています。
「子どもの貧困」とはただ「家が貧乏」ということではなく、子ども一人ひとり違う複合的な問題があります。ネグレクトで生活のリズムが整わない、親のケアがない、食事がない、コミュニケーションがないなど、どれも子どもが育つうえで必要なことですが、親の状況によってかなわない子どもがいます。コロナの感染拡大によって、2020年3月突然安倍首相が一斉休校を表明し、給食がなくなりました。給食が命綱の子どもが存在するにもかかわらず、子どもの権利がこんなに簡単に無くなるのか、と愕然としたそうです。そこで緊急お弁当プロジェクトを実施。このプロジェクトには栄養士や給食職員の参加もあったそうです。このような中コロナ禍でフードパントリーに登録をしている親にLINEアンケートを取ったところ、精神疾患、精神障がいを告白した割合が25%と高く、頼る人がいないこともわかりました。「子どもの貧困」は「親の貧困」でもあります。 2018年4月からは区内20団体が参加する「かつしかこども食堂・居場所づくりネットワーク」がスタート。2019年夏には「こどもたちの明るい未来づくり基金」の助成を受けて、夏休み(長期休み)の給食代替プロジェクトに取り組んでいます。
これらの取り組みから見えてきたのは①虐待・ネグレクト、②外国をルーツに持つ子どもへの差別や貧困、③支援対象年齢を超えた子どもへの支援(子ども時代の困難が人生に与える影響)といったさまざまな「子どもの貧困」でした。
一斉休校になったとき、緒方さんは葛飾区長に給食の代替措置を提案しましたが、区長は理解を示したものの、結果的に何もしてくれなかったそうです。生活保護世帯にはお弁当を渡してはいけないといわれるが、ネグレクトで食べられない子どもがいる実態を理解していない、教育委員会には学校給食を学校外にもっていくことはあってはならないといわれ、葛飾区政には「子どもの最善の利益」を最も大事にしてほしいと話されました。さらに葛飾区には区民の声を本当に聴こうとしているのか、区民が主権者であるための取り組みになっているのか、「区民と協働」するのは何のためなのか、ミッションとビジョンを明らかにすることを期待しているとのことでした。
「子ども食堂」は困難を抱えた子どもたちを地域で支える存在です。必要があれば行政や専門機関につなげています。子ども食堂の活動を応援するとともに、子どもやその親が抱える困難を解消するために社会全体で支えるしくみや取り組みが必要です。