訪問介護事業所の運営に関する実態調査から
2000年から始まった介護保険は3年ごとの改定によって、 利用者にとっても事業者にとっても使いにくい制度となっています。訪問介護は要介護状態になっても住み慣れた自宅で暮らし、自立した生活を送るうえで要となるサービスですが、それを支えるヘルパーの置かれている状況は厳しく、4人に1人が65歳以上と高齢化がすすんでいます。 さらに2024年4月からの介護報酬引き下げによって訪問介護事業者の倒産件数は前年度比21,1%増です。訪問介護のヘルパーのなり手がいなくなれば、 自宅で介護を受けられなくなり、そのしわ寄せは介護離職にもつながります。厚生労働省によると、家族の介護や看護の離職者は1年間で9万9千人、50~64歳が多く、社会的な課題です。
生活者ネットワークでは都内の訪問介護事業所と利用者の実態調査を行い、訪問介護事業所のヘルパー不足によって事業所が依頼を受けられない状況にあることがわかりました。これは市民のサービスを選択する権利が失われ、介護保険制度の根幹を揺るがすものです。国の基本報酬の引き下げの見直し、東京都や区による訪問介護事業所へ直接支援などがなければ、将来的に自宅で訪問介護を受けられなくなります。介護の問題を家族の問題に戻すことなく、必要なときに必要なサービスが利用できるよう、訪問介護の充実を求めていきます。