安倍元首相の「国葬」について反対を表明します
2022年7月8日、参議院選挙の応援演説中に安倍晋三元首相が銃撃され、亡くなりました。いかなる理由であれ、暴力によって人命を奪うことは断じて許されるものではありません。
政治家の死を悼む葬儀が主義主張に関係なく、行われることはあたりまえのことと考えますが、岸田首相は早々に安倍元首相の葬儀を9月27日に「国葬」で執り行うことを閣議決定しました。「国葬」にする理由として、「歴代最長の任期期間と、内政・外交での大きな実績」を挙げていますが、集団的自衛権行使に係る強引な憲法解釈変更や森友学園に係る公文書改ざん、桜を見る会の問題など、安倍政権の政権運営は、民主主義の根幹を揺るがし、数々の疑惑も今なお未解明のままにあります。そもそも、安倍元首相の政治家としての評価は、歴史的経過のなかで主権者である国民が下すべきものです。
さらに、今回の銃撃事件の背景にある旧統一教会と接点のあった国会議員について調査が行われましたが、自己点検という調査のあり方では実態解明にはほど遠く、国民の納得のいく結果にはなっていません。
世論調査でも、国葬に「反対」が、「賛成」を上回っており、官邸前行動やオンライン署名、国葬に係る予算差し止め訴訟など市民から反対、抗議の声が続々と上がっています。このような賛否が分かれている中での国葬について、「内心の自由を侵害する恐れも否定できない」といった指摘もあります。行政法学者からも国葬を行う法的根拠のあいまいさについて疑問の声が上がっており、1947年に国葬令が失効した後、佐藤栄作元首相の国葬について検討されましたが、法的根拠が明確でないと見送られ、現状では、国葬を直接規定した法律は存在しません。
また、政府が閣議決定した費用は約2億5000万円でしたが、その後、警備費や外国要人の接遇費などに計約14億1000万円の支出が見込まれるとの概算額が公表され、総額は計約16億6000万円と当初公表した予算額の6.6倍となりました。
国民の税金を使い、明確な法的根拠もなく、国会での議論を経ずに決定した、国葬については容認することはできません。
以上のことから、葛飾・生活者ネットワークは、安倍元首相の「国葬」について、強く抗議するとともに、反対を表明します。