そもそも憲法改正ってどういうこと?憲法カフェから
現在私たちは現憲法の下で憲法のことを意識することはなく暮らしています。しかし、高市政権になり、憲法改正が現実味を帯びてきています。憲法のどこを変えようとしているのか、私たちにどんな影響があるのかを知るために「明日の自由を守る若手弁護士の会」の弁護士/都議会議員(立憲民主党)の三雲 崇正(みくも たかまさ)さんに憲法改正についてお話を伺いました。
憲法って何だろう?
首相は「どのような国を作り上げたいか、理想の姿を物語るものが憲法だ」と主張しているが、憲法とは「国の姿を決める法」ではなく、「国民の人権を守ることを目的として、国のしくみを定める法」のこと。
歴史では「絶対王政」のもと国民がつらい思いをしたことから、「王様の権力を憲法で制限しよう」という考え方(立憲主義)が広がり、主権は国民にあることが立憲君主制。近代以降は「人間は生まれながら自由・平等を制限して国民の権利・自由を守ること(人権保障)」が憲法の目的になり、すべての人に人権があることを認め、国家の任務と限界を憲法に定める。
日本国憲法の成り立ち
戦前にあった「大日本帝国憲法」公布は1889年(明治22年)。天皇が国家統治の「大権」を持ち、「法律の留保」の下で「臣民」の権利が認められていたので、法律によって国民の権利が制限することができ、治安維持法、徴兵制などでは人権を侵害する行為が国家によって行われた。
1940年に日本は第2次世界大戦に参戦し、1945年8月敗戦。この戦争において日本だけで310万人が亡くなった。
1945年10月マッカーサー・近衛会談、マッカーサー・幣原会談において民主主義的・自由主義的憲法の必要性示唆、憲法改正案の検討が始まる。12月「憲法研究会」が「憲法草案要綱」発表。他方、政府案は憲法の原則を変えず。GHQは「憲法研究会」案を原型としたGHQ草案作成。
1946年2月GHQ草案が日本政府へ。日本政府GHQ草案をもとに憲法改正案作成、公表。
同年4月衆議員選議員総選挙。8月衆議院で憲法改正法案を可決。10月貴族院で可決。
1946年11月3日、日本国憲法公布。1947年5月3日日本国憲法施行。
憲法改正は必要?
憲法96条1項には憲法の改正が明記されている。ただし、憲法の一番の目的である「基本的人権の尊重」人権の尊重に必要な「国民主権」を変更してしまうことはできるのか?
憲法改正には一定の限界がある!近代憲法にある『根本規範』ともいうべき人権宣言の基本原則を改変することは許されない(芦部信喜:法学者)」
だれのための憲法なのか?
自民党により「日本国憲法改正草案」が2012年4月に示された。 主な改正理由は連合軍の占領下で制定された、日本人がつくったものでない、憲法はあるべき国の姿を示す国家の基本法であるべき、日本を取り巻く環境や国民意識が変化した等。そもそも自民党は結党以来現憲法の自主的改正を党是としている。変更点は天皇の元首と明記、国防軍の創設、基本的人権の制限を可能にするなど。
最近の議論の状況
衆議院憲法審査会で「緊急事態条項」の議論が焦点になっている。
改めて憲法の成り立ちや改正が本当に私たち国民の幸せにつながるのかを考える機会になりました。
プライバシー権や環境権などの新しい権利のための改正論議がありますが、憲法13条「個人の尊重・幸福追求権」があるので、13条の下の法律の整備で十分対応できる。また、緊急事態条項については戦時中の反省を踏まえ、国の暴走を止めるために先人たちが憲法に入れなかったことが解である。第2次世界大戦の反省のもと制定された現憲法には国民主権、平和主義、基本的人権の尊重が掲げられたが、どれか一つでも欠けたらどうなるのか?戦争は最大の「人権侵害」平和があってはじめて人権がきちんと保障される。人権を守るためには国民主権が重要であるといったお話は納得できるものでした。
二度と第2次世界大戦のような事態を招かないために憲法はどうあったらいいのか、主権者である私たち国民は今何が議論され、自分たちにとってそれがどういうことになるのか、知って見極める必要があります。そして、憲法改正は今を生きる私たちの問題だけではなく、将来世代に手渡す国の基本になると考えれば、その選択には大きな責任があります。


